RevenueCatは、Appleの返金リクエストを自動処理できるようになりました:Dipseaの返金率が36%低下した方法
「返金を賢く管理し、利益を守るためのよりスマートな方法。」

返金はアプリ開発者にとって悩みの種となることがあります。特に、長期ユーザーからの返金リクエストが発生し、Appleがそれを承認してしまうと、収益に直接影響を及ぼすため、さらに痛手となります。
しかし幸いなことに、開発者はアプリ内購入の消費情報(Consumption Information)を提供することで、Appleの返金判断に影響を与える方法を持っています。
消費情報(Consumption Information)とは?
ユーザーが返金をリクエストすると、App StoreはApp Store Server Notifications APIを通じて開発者にCONSUMPTION_REQUEST
通知を送信します。この通知を受け取ると、開発者は12時間以内に、ユーザーのアプリ内でのアクティビティや購入履歴といった「消費情報(Consumption Information)」を提供する必要があります。
この情報を提供するには、開発者またはチームがSend Consumption Informationエンドポイントを呼び出し、要求された消費データを含むレスポンスを送信します。Apple は提供された情報を考慮し、返金の可否を決定します。ただし、注意点があります。それは、開発者が12時間以内に対応しなければならないということです。対応が遅れると、多くの場合、Apple はデフォルトで返金を承認してしまいます。

CONSUMPTION_REQUESTS
通知に関するスレッドに回答した Apple のエンジニアRevenueCat で消費情報の送信を自動化
CONSUMPTION_REQUEST
通知の存在を知っている開発者であっても、多くの場合、適切に対応できなかったり、期限内に返答できなかったりします。その結果、根拠の薄い返金リクエストであっても承認されてしまう可能性があります。
この課題を解決するために、RevenueCat は Apple の消費情報リクエストに自動で対応できるようになりました。 必要な情報と開発者の返金方針を即座に送信することで、対応の遅れを防ぎます。RevenueCat はすでに収益データを管理しているため、以下のような詳細なコンテキスト情報を Apple に提供できます:
- ユーザーがどのくらいの期間アプリを利用しているか
- アプリ内購入をどの程度消費したか(例:年間サブスクリプションを6か月利用した場合、消費率は50%)
- ユーザーのプラットフォームをまたいだ生涯支出額
- ユーザーに対して過去に承認された返金の総額
仕組みについて
Apple の返金リクエスト対応を RevenueCat に任せるのは簡単です:Projectsに移動する、Apps を選択する、iOS App Store entryを選択する、下にスクロールして「Handling of refund requests(返金リク エストの処理)」 を見つける、ここで処理方法の設定を選択する。これだけで、RevenueCatがAppleの返金リクエストを自動処理できるようになります。

「Do not handle(処理しない)」以外のオプションを選択すると、RevenueCatは必要なすべてのデータ(消費情報)をAppleに送信します。デフォルトでは「Do not handle(処理しない)」が設定されており、この場合、RevenueCatは一切対応しません。
Apple は開発者の返金方針を考慮した上で、最終的な判断を行います。そのため、以下のオプションを慎重に選択してください:
- Submit consumption data and let Apple decide:RevenueCatは必要な消費情報を送信しますが、返金の可否についての希望は伝えません。最終判断はAppleに委ねられます。
- Always prefer granting refunds:RevenueCatはデータを送信するとともに、返金を承認するよう Appleに推奨します。
- Always prefer declining refunds:RevenueCatはデータを送信し、返金を拒否するようAppleに推奨します。
- Do not handle(デフォルト設定):RevenueCatは返金リクエストを一切処理せず、Appleへの応答も行いません。
⚠️ 重要事項: Appleの規定に従い、消費データを共有する際には 利用規約に記載し、ユーザーの同意を得る 必要があります。
返金リクエストの測定
RevenueCatは、Appleによって承認、拒否、または取り消しされた返金のレポート処理も行います。「App Store Refund Requests Chart」 にアクセスすれば、返金リクエストの内訳を確認できます。このチャートでは、承認された返 金、拒否された返金、未解決の返金リクエストの数を確認できるほか、それらの数値が時間とともにどのように変化しているかを把握できます。

RevenueCatを使った消費情報の送信が、返金の承認・拒否数にどのような影響を与えるか気になりますか? 返金リクエストの処理設定を選択し、その日から返金数がどのように減少するかを確認してみてください。きっと驚くような結果が得られるはずです!
ご存じの方もいるかもしれませんが、数か月前に私たちはDipsea(大人向けオーディオブックアプリ)を買収しました。この新機能が返金リクエストの承認数を減らせるかどうかを検証するため、Dipseaをテストベッドとして活用し、機能を開発しながらその効果を測定しました。
RevenueCatを活用してDipseaが返金率を下げた方法
10月18日、RevenueCatはDipseaの消費リクエストの追跡を開始し、10月23日から「消費データを送信し、Appleに判断を委ねる」設定での対応を開始しました。

RevenueCat の自動応答を使用する前、Dipseaのrefund rate(返金率) は 3% で安定していました。しかし、わずか15日後には1.9%に低下し、数百ドルのコスト削減につながりました。特に注目すべき点は、この改善が 「返金を拒否する」設定を使用せずに達成されたということです。結果はアプリごとに異なる可能性がありますが、Appleは開発者の意向を考慮するため、「Always prefer declining refunds(常に返金を拒否する)」を選択することで、さらに良い結果を得られる可能性があります。
RevenueCatを使わずに返金リクエストとCONSUMPTION_REQUEST
通知を処理する方法
現在RevenueCatを使用していない場合は、今が導入の絶好の機会です。 こちらをクリックして登録するか、まずは、既存のサブスクライバーがいるアプリへの導入方法や移行手順のドキュメントを確認し、理解してください。
もしCONSUMPTION_REQUEST
通知を直接管理したい 場合は、以下の手順でシステムをセットアップできます:
- Apple の App Store Server からの通知を受信するための安全なサーバーエンドポイントを設定する。これは、ユーザーが返金をリクエストした際にAppleから
CONSUMPTION_REQUEST
通知が送られる場所になります。 CONSUMPTION_REQUEST
通知を受信したら、そのペイロードを確認する。consumptionRequestReason
などのデータフィールドをチェックし、ユーザーの返金リクエストの背景を把握します。これにより、どの消費データを送信するかを判断できます。- リクエストごとに、ユーザーのアプリ利用状況に関する関連データを収集する
- アプリの使用時間
- アクセスしたコンテンツや完了したコンテンツ
- 生涯購入履歴や利用頻度
- 可能であれば、過去の返金履歴
- Send Consumption Informationエンドポイント(ドキュメントはこちら)を使用してAppleにレスポンスを送信する。12時間以内に対応する必要があるため、リクエストの量が多い場合は処理を自動化することを推奨します。
- 確実な対応のため、各リクエストを記録し、レスポンス時間を追跡する
これらの手順を実施することで、Appleがより適切な返金判断を行うためのコンテキストを提供できます。詳細については、Appleのドキュメントを参照してください。各データフィールドの説明やペイロードの例が記載されています。
返金管理を効率化し、成長に集中しましょう
返金リクエストに振り回されたり、収益を削られたりする必要はありません。RevenueCatの新しい CONSUMPTION_REQUEST
通知への自動対応機能 を活用すれば、手動対応の手間を省き、時間を節約し、未然に防げる返金を防ぐことができま す。個人開発者でも、成長戦略を担うチームのリーダーでも、信頼できる返金管理システムを導入することで、より多くの時間を顧客への価値提供とアプリの成長に注げるようになります。
RevenueCatのダッシュボードで、新しい返金リクエストの処理設定を確認し、あとはお任せください。
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